|
Prologue
川の音が聞こえる場所。
水郷の里。
ぼくたちはそんなところに住んでいた。
家から少し歩くと山があって、そこには大きな芙蓉の樹がある。
そんな風景の中でぼくたちは過ごしてきた。
夏休みも近いある日。
ぼくたちの通う学校に一人の女の子が転校してきた。
女の子の名は永久。
明るい笑顔と淡く透き通るような髪が印象的な少女だった。
だが、初めて会ったはずの彼女の顔にぼくはどこか見覚えがあった。
・ ・・ ・・・
夢を見た。
芙蓉の樹の下にある土を掘り返す夢を。
何か大切なものが埋まっている。
だからぼくたちは土を掘り返した。
手が痛くなるまで、ずっと……。
・ ・・ ・・・
そして夏休みが始まる。
蒼穹と純白で彩られた季節の中でぼくたちは無邪気な時間を過ごしていく。
やがて目の前に現れる出来事も知らないままに。
水郷の里。
その名前とは別のもう一つの名。
さとりの里……そうとも呼ばれるこの町の中で。
・ ・・ ・・・
ぼくたちは彼女を助けたかった。
|